相続対策
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生命保険による相続対策                                CFP 岩脇 一生

■遺産分割対策(争続対策=肉親間の争いを回避)
・円満な遺産分割◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
土地・建物等の分割不可能な資産しか無い場合に、生命保険金を財産分けとして、少なくとも遺留分
(法定相続分の1/2)を目安に用意します。
・代償分割◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 「遺留分減殺請求権」を行使される可能性のある場合は、後継者を保険金受取人に指定し、その保険金を原資にして他の相続人に「代償分割」します。
 [生命保険金は相続税法の「みなし相続財産」であって、民法の遺産分割協議の対象となる相続財産には当たらない受取人固有の財産である為です。]
■納税資金対策■
 [日本の資産家は昔から土地・自宅・自社株など、現金以外の財産が主体で「現金が少ない」のが特徴と言われています。ところが相続税は相続の開始から10ヶ月以内に、原則として金銭での納付が義務付けられています。いったん相続が発生すると、換金性の悪い資産が多くを占めるので納税資金に困窮するというのが一般的になっています。
・非課税枠の利用◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 生命保険は500万円×法定相続人数が非課税になります。
[ 課税財産である現金を、非課税財産となる保険金に変える事ができ、なおかつ納税資金の準備ができます。]
・財産完全防衛法◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 支払うべき相続税の金額を生命保険によって準備する方法。
[ 保険金の分だけ相続財産が増加するため、相続税額も増えるのでそれも勘案した相続税額に相当する保険金額を設定しています。こうすれば資産は全額無傷で子孫に残せます。以前は保険が途中で切れると相続対策にならないので、終身保険に加入する例が多かったですが、今は割安な95歳、100歳満了の定期保険が発売されていますので、保険料はそれほど高くありません。]
・自社株の相続対策「準備さえしておけば使えます」◆◆◆◆◆◆
 平成13年10月1日の商法改正より、金庫株(トレジャリー・ストック=自社株式の保有)が解禁になりました。会社契約の定期保険を財源として、後継者が相続した自社株を会社が購入し、後継者はその代金で相続税を支払います。(つまり会社のお金で相続税を支払うことです。)
摘要要件(この制度を利用するためには以下の条件が必要です。)
・定時株主総会の議決を要する事
・取得株式の総額が配当可能利益の範囲内である事。
 配当可能利益とは、簡単に言うと設立してから相続開始までの課税済利益の蓄積「剰余金」を言います。つまり過去において利益を計上して剰余金のある会社だけが買い取ることができるわけです。
買取資金をどうするか
 現預金を準備できれば良いのですが、金庫株は利益を生まないので、余裕資金を当てなければなりません。資金繰りに追われる中小企業には厳しいところです。しかし会社契約の生命保険なら摘要要件の時には必ず保険金が入りますので、その保険金額が「配当可能利益」となります。
・死亡退職金の支給による納税資金準備◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 死亡退職金は500万円×法定相続人が非課税になります。(個人の生命保険金の非課税枠と合わせると倍になります。)弔慰金は、最終報酬月額×(業務上死亡の場合36ヶ月、業務外死亡の場合6ヶ月)が非課税です。(例)月給100万円の社長が病気で死亡、100万円×6=600万円  オーナー社長が死亡した場合は、死亡退職金と弔慰金を遺族に支払う事が出来ますが、その財源としては長期平準定期保険か終身保険に加入して、非課税特典のある死亡退職金を支給して納税資金を用意します。(死亡退職金と弔慰金を別に支払うため、議事録を用意すると良いでしょう。

■財産移転■
・保険料贈与◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 贈与は毎年110万円までは、非課税(基礎控除)になります。例えば最低税率(10%)が摘要される200万円を加算して310万円を贈与すれば20万円の贈与税の支払いで済みます。[ 一時払い養老等の金融商品の保険料として贈与する方法もありますが、令和4年に税制改正で所得税・住民税の最高税率が45%になりましたので、贈与された資金で相続人の一時所得扱いとなる保険に加入して、納税資金の準備する事が有利になって来ました。
一時所得={ (保険金-払込総保険料) - 50万円} × 1/2 × 税率
■相続財産の評価の引下げ■
・二次相続税対策◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
 配偶者は法定相続分か、1億6千万円までが非課税になりますが、さらにその子に相続される際は基礎控除のみとなるので、配偶者に対しても二次相続税対策が必要です。
税務については、2023年8月1日現在施行中の税制を参照しております。よって、将来的に税制の変更などにより、実際のお取り扱いを記載されている内容が異なる場合がありますので、ご注意ください。具体的な税務処理を行う場合は、税理士などの専門家、または所轄税務署にご相談ください。